その元凶たる男が今、翔也の百メートル前を逃走している。

一ヶ月前に榑市内の空港に降り立った、アメリカ政府の関係者。

確か二人組だった筈だが、どういう訳か今は一人しかいない。

勘のいい連中で、即座に翔也の尾行を振り解いてまんまと逃げられてしまったのだが、颯太との情報交換の結果、ようやくその潜伏先を突き止めてここまで追い詰める事に成功したのだ。

だがそこでまた思わぬ事態が発生する。

榑市でのゾンビ大量発生。

こうなる事を未然に防ぐ為に、連中の動向を探っていたというのに…!

大惨事を防ぎきれなかった事に、翔也は走りながら歯噛みする。

こうなればあの男を何としても捕まえ、真相を洗いざらい吐かせるしかない。

アメリカ政府と日本政府の繋がり、そしてこの榑市の大災禍発生の原因。

翔也の推理が正しければ、全滅した筈の寄生虫を、美原市大災禍以降も保管していた奴がいる筈なのだ。