土曜日は朝からバタバタしていた。


「お母さーん、こんなんでいいかなあ?」


「初めてにしては上出来よ。待ち合わせしてるんでしょう?こんな日に遅れちゃダメじゃない。」


「だって、お弁当に時間かかったんだもん。あー、もうこんな時間。話なんかしてるヒマない!」


ご飯にお味噌汁をぶっかけしてかきこむと、「行ってきまーす。」と、家を出た。



待ち合わせの駅まで自転車で10分。3分前に何とか着いた。


はあはあ、リュウさんはまだみたい。良かったー。


ダラダラ流れてくる汗を拭いていると、後ろから突然冷たいものが頬に触れた。


「ひゃあ…!」


振り向くと、リュウさんがクスクス笑いながらペットボトルを差し出した。


「随分、暑そうだね。はい。」


恥ずかしさで顔が火照っていくのが自分でもわかる。赤くなった顔を見られたくなくて、俯いてしまった。