5月31日 夜


今まで、できる事は全てやってきた。準備、殺害方法、逃亡方法、全部だ。


亜希とも何度も電話で話をつけた。


あとは、その都度の場合、状況に頭を柔らかくひねって対応させるしかない。



全く、主催者は何を考えているのだろう。


こんなゲームをやって何のメリットがある?


俺は腕時計をみた。


この時計の針三つが針が12の所で、重なったらゲーム開始の合図…



俺はスタンガン、自分のと、キラーゲーム専用のと、亜希との連絡用の3つの携帯電話を鞄に入れた。


そして、亜希に電話をかけた。
ゲーム開始前の最後の電話になるだろう。



「こんばんは、亜希。
いよいよ明日だ。」



「分かってる。今まで、いろいろ準備してくれてありがと…


私はもう心の準備が出来てるよ。


じゃあ、明日は新橋でいいの?真司?」


俺たちは知らない間に、下の名前で互いを呼び合うようになっていた。



「そう、新橋の駅前で。

何にも心配はない。計画通りにやるだけだ。計画通りに….」



俺は、ゲーム開始に近づくに連れて、心拍数が上がり、緊張していった。


だが、心の何処かで人殺しのこのゲームを心待ちにしている。


なんと、罪深い奴だ。



我ながらに、つくづくそう思う。




「じゃあ、二人に武運を。」



「うん、二人に武運を…」


静かに携帯の閉じた。



3…







2…






1…





真夜中の静けさの中、

時計が12時を指す。



キラーゲームスタート。