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あたしは、5年前の今日まだ17歳だった。
店から少し離れた路地裏で、スーツを着た男に出会った。
あの日、もしあの男に拾われなければ、今のあたしはいなかっただろう……。
違う……
あたしという存在すら、なくなっていたのかもしれない。
人込みをかき分けながらあたしは目を遠くに移した。
5年前、あたしが拾われた場所。
一歩、足を踏み出せば
こんなにもたくさんの光が輝き、放ってたはずなのに……。
あたしはそんな世界から逃げるように、一人全く光の射さない場所にいた。
暗闇の世界に入ろうとーーーー。



