「なんだって?」
「野球に付き合ったから、店終わったら美波に付き合ってさ」
「アハハハハッ!!完全に美波に振り回されてんじゃん」
「つーかさ、野球なんて誘ってないし、勝手に……」
「まぁ、いいじゃねーかよ楽しかったろ?」
「……」
楽しかった……?
楽しい???
そう、あたしは今日久々におもいっきり笑い声を張り上げて……
これって楽しいなのか……?
そんな言葉すらも忘れかけていたんだ、あたしは……
「ほら、行くぞ?お前はどうせセットだろ?」
「あ、うん」
「今日は一段と綺麗にして貰えよ?」
明らかに、笑いをこらえている緩んだ顔の店長
「なんでよ」
「店終わったらホストだぜ?俺の店のナンバー1がやる気なさそうだったら顔が立たないから」
「はぁ~?ホスト?」
「ああ、美波のお願いは間違いなく行きつけのホストくんの所だよ」
そんなことを話ていたら、店の前まで着いていて「じゃあ、お先に!今日も宜しくお願いします」と手を挙げ先に店へと入って行った。
ホスト?あたしが?
ありえない……
お金払ってまで、なんで男と話さなきゃいけないんだよ
男なら客だけで十分だ
そうイライラしながらも、先に行った店長のせいでなかなかエレベーターが下がってこないことに、もっと怒りがヒートアップした。
そういえば……なんかあたしに言いかけてたっけ。
そんなことを思いながら、大したことじゃないんだろうと、そんな風にかき消した。