⁂ダイヤモンド⁂


いつの間にか、グランドには選手たちが散らばっていて周りの声援が響きわたっている


美波と店長を見ると、真剣な眼差しをグランドに送っている


こんな真剣な顔、見たことないな~


なんて思ってたら少し笑えてたりもして……



あたしは、いつもより美味しいビールを流しこみ、


いつもと違う世界に少しだけ浸り、そして、何より美味しいビールが飲めただけでよし!としようなんて考えてみたりもした。


「うぉぉぉぉぉ~!いけ~!!!!」
「きゃーっ!!入れーっ!!!」



その美波と店長の声に体がヒビクッと反応したが、周りにいる人達は立ちあがり吠えていた。


「なに?なに?」


まるで自分だけがこの席にいることが浮いているようで、グランドをすぐさま見ると、凄い勢いでボールが飛んで行っていた。

「うおぉぉぉ!!!」
「よっしゃー!!」


「ホームランだぁ~!!!!」



初めて見るそれは、あたしをなぜだか興奮させ気がついたら立ち上がり喜んでいた。



「すごーぉ~い!!!うわぁ~!!!」


周りも一層強くはしゃぎコールをかけている。


そして、なんだかとてつもなく視線を感じる方に目を向けると、美波と店長があたしを直視して、二人とも、口を開け目を丸くしていた。


「未来……」
「未来さん……」


「えっ??」


何かしてしまったのかと二人の顔を交互に見ると


「大丈夫か?」
「大丈夫ですか?」


と声を揃えて静かに言う二人こそが、周りから浮いていた。



その瞬間、笑い声が響き渡り首をかしげると「俺らより盛り上がってたし~」なんて冷やかしながら、片手を挙げている店長は、


またビールを追加し、それに便乗しあたしもまた頼んだ。



「何これ……、本当にすごいっ!!」


新しく追加されたビールを口元に持っていきながらも、あたしの視線はグランドに釘づけになっていた。



そんなあたしを二人が目を合わせて微笑んで見ていたのさえ、気づかないほど、あたしは夢中になるものを見つけた。