「おはようございま~す!!」

元気よく更衣室に入っていく美波にいっせいに女の子たちが視線を向ける。

「おはようございます」


何人か、口を揃えて言ったが、その瞬間にみんなの視線はあたしに移った。



その視線をさけるように「おはよう」とあたしも小さく言ったが、みんなはびっくりした表情で見つめたままだった。



当たり前だろう。


美波と一緒に店に来たことにびっくりしているのだろう。
周りのキャストとは一切関わりの持たない女だったはずなのに……


「未来さん何ぼーっとしてるんですか?着替えましょ♪」その美波の言葉にまた冷ややかな視線を浴びる。


まぁ、確かにびっくりするのかもしれないけど……


あまりの空気の重さに耐えられなくなり「なんか用?」と周りの女の子たちに向かって言い放つといっせいに下を向いてそれぞれ支度をし始めた。


美波が、そんなあたしを見てクスッと笑う。
そんな美波を見てなぜだかあたしも自然にクスッと笑う。


女は好きじゃない。
いや、人間という生き物が好きじゃないのかもしれないけど……

だけど間違いなく、昨日からあたしは変だ。



小さくため息を吐けばいつも同様、さっさと支度を終えると更衣室を出て行った。