「ねぇ?」
「ふぁ~い!!」
「あのさ、野球って興味ある?」
「はい?」
「野球……」
そう言うと、長い瞬きをしてあたしを見つめた。
「あたしは男にしか興味ありません」
「あっそ……」
完全に選択ミスだ、この娘に聞いたあたしが悪い。
そう思っていると、あたしの封筒を取りあげ、チケットを取り出した。
「ちょっ……」
「えっ~!これ、オープン戦のチケットじゃないですかぁ!!!」
どうやら酔っぱらっていても、そうゆうことは理解出来るらしい。
「興味あんの?」
「あたし、野球見ますもん」
「じゃ、あげる」
興奮している美波を置いて少しだけ歩くと「待ってください~」と甲高い声で引きとめる。
「はぁ……早く帰ろ」
「これ、一緒に行きましょうね」
「はっ?」
「あたしを誘ってくれたんですよね?」
その顔は誇らしげで、帰る時まであたしをイライラさせる。
「興味ないから、誰か他探して」
ため息まじりに言ったが、美波は全然聞いてなさげで、今度はあたしを置いて歩きだした。
「未来さんとデートだぁ~!!」
フラフラな美波に速足で近づき、手を貸すと「デート♪デート♪」と笑う美波に「行かない」と返しながら歩いた。



