「そう、あたしはホストに恋してんの」
聞いてもいない、むしろ聞きたくもなかったが、酔っぱらった理由が分かった気がした。
「しかも、未来さんみたいに変な人」
そう言うと立ち上がり「行きましょ!!」なんて伝票を持ち立ち上がった。
「え?うん……」
なんだか、この娘に振り回されてる?なんて思いながら重い腰をあげ財布を取り出した。
「未来さん、ここはあたしが出します」
ふらふらな体をやっと支えている足も限界らしく、本物の酔っぱらいに「今日はいい」なんて力強く言うと、「すみません」と小さく言って、店をそそくさ出ていく。
「ありがとうございました~!!!」
従業員のその言葉に軽くお辞儀すると、あたしも店を後にした。
「ちょっと……」店の前にしゃがみ込んでる美波を支えながら立たせると笑顔で笑った。
一瞬だけ、可愛いじゃん。
なんて思った自分に首をふった。
「本当にすいませんでした」
「いいよ、この借りは大きいよ」
閉まっていなかった財布を美波を支えながらバッグに入れると、そこに入っていた封筒が目に入る。
『誰か誘っていけよ』
同時に店長の言葉も聞こえてくる。
手に取ると、封筒と交互に美波の顔を見た。



