⁂ダイヤモンド⁂


なんだか凄く調子狂うな……



もしかしたら、この雰囲気は仕事より疲れるのかもしれないなんて思いながら、美波の顔を直視できないでいる。



「………なぁ……」

「えっ?」


周りが騒がしいのか、美波の声が小さいのか確かにあたしに向かって何かを呟いている。



「やっぱり~未来さんって綺麗なんだな……」

「はい?」

「変な人だけど……ププッ」


そう人の顔を見ながら笑い、美味しそうにビールを飲む姿を見て、あたしはつまみか?なんて苛立ちを感じてしまった。


んっ……?

変な人……?


一瞬、さらりと流してしまったが、美波の発した言葉はあたしの頭の片隅にしっかり入っていたらしい。


「変ってなにが?」

「い~や、変です!!」

そうぶっきらぼうに答えると「すいませ~ん~!!」と手を上げ生を追加し、手羽先を注文した。


気分が悪い……

お酒のせいじゃなく、目の前にいる人物のせいで。


こういう付き合いにも慣れてないせいか、凄く家が恋しく思えて、早く帰りたい。


「まだ、帰しませんよ~!!」

「は?」

「今日は、帰しません~!!!どうせ早く帰りたいとか思ったんでしょ?」

「ちょっ、声がでかい…」

心の声を読まれたのか?なんて思ったりもしたが、それどころじゃなかった。美波が大声を出したせいで周りの視線はあたし達に向けられていて、痛い…。

酔っぱらいの女1人に、酒が入っているくせにしらふな女が1人。

どう見たって、痛い視線はあたしだけに向けられている。


「はぁ……」

大きなため息をつくと、残りわずかだったビールを飲みほした。