5年前の今日、あたしは店長にこの店に連れて来られた。



あれから5年―――。
あの日から一年経つごとにこの白いドレスに身に纏っている。

今日でこの白いドレスを着るのは5回目。

そう、未来という人間に生まれ変わってからの5年間あたしは、ただがむしゃらに働き続けてた。


休みは月に1日のみ。


それ以外はどんな用事があっても体調が悪くても欠勤なんてしたことがない。

休みがあったとしても会う友達も居なければすることさえもないのだから。



そのお陰か、あたしはトップの座を譲ったことがない。

だけど、頑張ってるつもりもなく、勝手に付きまとうNo.1の座。



それに優越感すら感じた事もなかった。


そしてあの日からあたしはもう、昼間の光を浴びることがなくなってしまった。

5年間1度も……


ずっとNo.1をキープし続けたおかげで月給も驚くほどにもいただいている。そして何より一人を好むあたしは寮から1LDKのとても女1人で済むには勿体ないほどの高級マンションに3年前に引っ越した。


かといってとっても殺風景な部屋。

家具は小さなテーブルに無駄に大きな冷蔵庫、TV、ソファーそしてベッドのみで、色は全て白で統一させた。

昼間は光の差し込まなブラインドで遮り、夜になると外に出る。


自分を着飾る物全て、店へ迎う途中に10時までやっているお店に足を運んで買うだけ。

美容院はヘアメイクさんにお任せきりで、自ら行ったことなどない。

自分が食べるものは、帰るときタクシーの運転手さんにコンビニで待機して貰い買って帰る。

毎日のことだから、最近はそのタクシーの運転手さんもあたしの専属みたいになっている。


もちろんお店から、送りの車が手配されるのだが、帰り色んな女の子を乗り合わせて順番に送られるのは非常に気分が良いものではなく、断り続けたのちに、こういう形になっている。



そして、毎日人混みをかきわけながら、夜の光の中を歩いていく。




そう――。



あたしはもう、自然の光を浴びるほど綺麗な女ではないから…。


人工の光を浴びて歩いていく方がきっと誰よりも似合ってしまうのだ……。


そして5年目を迎える今日もわたしはいつもと変わらず出勤し、ドアを開けるとお店の中へと足を踏み入れた。