「本日のラストソングを歌ってくれるのは、今日で5年目を迎える未来さんです!!」


5年目を迎えた君に俺はあの歌を選曲し歌わせた


この時、全てが繋がったんだ


俺のもしかしたら……の迷いは、確信に変わって行った。



俺が与えた白いドレス纏っている君を見つめながら、その歌声に俺は静かに涙した。



この5年、色々なことがあった。


未来は何度も、この店を飛び出してはその度に俺は追いかけた。


もう失いたくない


俺の前から誰かが消えてしまうことだけは……


そう思いながら今まで何度、未来の腕を強く掴んだか分からない。


目をつぶりながら歌いきった未来はとても切ない顔をしていて心が傷んだ。



少しだけ怖かったんだ


人の心など覗くことなんてできないから



未来には前を向いて歩いて欲しいと思ってその名前をつけたのは紛れもなく自分なのに


今日はなぜか、少しだけ過去を振り返って欲しいと願ってしまったのは、



今日、この日だったからだろう……。