俺ははこの迷い猫に名前をつけた


《未来》



君を見つけた時に一瞬で、何も迷うことなく思いついた名前



今日からこの名前と共に


前だけを向いて歩いて行って欲しいと



もし過去を振り返ることがあるのなら、


俺は力強くこの名前を呼ぶだろう。



「おい、部屋使うから誰も入るなよ!」



「はい!かしこまりました!!」



あの日、俺の店に連れてきた迷い猫は周りをキョロキョロしながら、この世界を驚いた表情で後ずさりしていた。



当たり前だよな


今まで幸せの中で平凡な生活を送っていた君には、驚きの連続の世界だったのかもしれない。



でもな?


悪くないだろ?



この世界にいて良かったと思える日がくることを、俺は信じてるんだ。



もう君は一人じゃないのだから……