―幼なじみの正体―


「お金?! そんなの、私の出産費用とお式の分ですっからかんよ」


『なあんだ。イケメンだけが取り柄か』


 私はむっときたから、臨戦態勢。


「やっぱりミーナはお式に呼ばなくてよかったわ」


『なんだかんだであたしも忙しいし』


「真面目ぶって授業に出てたの?」


 と、聞くと、


『まさか! あたしは世紀のハンターよ。入江洋介にはもはや興味ない。お式だなんて、ドレスを新調するのも面倒くさい』


 私はつい、なんでこの娘と七年も親友でいられたのか、疑問に思ったくらいだ。


 とはいいつつも、式はもとから両家のごくごく身内だけのものだったけれど。


 それは彼女には内緒だ。


 だって、こんなことを言うのよ?


『まあ、入江に紹介してもらった人脈は惜しいけどね。今、服飾の先輩と宝飾のプロにはガッツリ、貢がせてるけれど』


 だって!


 久々だよ、ミーナと顔ひっぱたきあったのは。


 私はつけまつげがとれたけど、ミーナの顔は倍にふくれた。

 
 二人とも鏡を一斉に見て、笑った。