―君の名を愛す―


「私も」


 ん? て具合によっちゃんはあたしを見る。


「私だって、妬くよ」


「ほんとかい」


「誰かに……よっちゃんを盗られたりしたら……ショックで泣くよ」


「ありがと。男冥利に尽きるぜ」


「んもう、だから、妬かせないでっていってるの」


「あいあいさー」


「さー、は男の人への敬称よ」


「イエス、マダーム!」


「無事、あなたの妻になれたら、いいのに……」


「お心のままに。マイレイディ」


「んもうレイディは、結婚した女の人、もしくはお貴族様の敬称よ」


「ちゃー、……なんて呼べばいい?」


「真李耶、でいいに決まってるでしょう」


「イエス、君に誓うよ。オレの真李耶。……つくづくいい名前だよな」


「真実の真。そして艶やかに朱いモモの実の李。そして木花咲耶姫の耶ですから」


「初めましての時、インパクトあったなあ。女神様の名前つけちゃうなんて、よっぽどご両親に愛されて生まれたんだって思う」


「そんなこと……ないよ」


「ある。オレはそこも惚れてる」


「……よりも?」


「ん? 今なんて言ったの? なになに、よく聞こえなかった」


 聞こえないように、言ったんだもん。


 説明なんかしないよ。


 できない……