―秘め雪―


「当たり前だよ。天候チェック無しに山なんかこらんないよ」


「じゃあ、はずれたんだ、今回のよっちゃんのチェック」


 薄暗い空から雪が目の中に入ってきた。


「山の天気は女心と秋の空っていってね」


「なにそれ、私は浮気なんかしない」


「ん、ちょっと心配だけど、歩くだけだから様子見ていくかな。カッパ着て」


 ん、なにが心配?


 カッパ。


 私はその一言に爆笑してしまった。


「あー、悪いわるい。ウインドブレイカーでした。そんなにおかしいかな、雨ガッパ」


 とまた言うから、ひーひーいいながら、お腹抱えて、おかしいねえって笑った。


 よっちゃんは頭を傾げながら、不思議そうにしていた。


「正直、女の子の、いや。真李耶のツボってわからないな」


「ちょ、笑い上戸なの。許してー、それだけは!」


「いいけど。オレ以外の奴にそんな顔、見せるなよな」


「あ~、やきもち~?」


「やきもちくらい妬くさ。真李耶はオレの彼女だしカワイイんだから、他の奴に盗られたらって、心配でしょうがないよ」