―優しい嘘をついて―


 ふたり、寄り添っている。


 都会にはない、満天の星空に、迷子になりそうな自分を見つけた。


 私は自分からよっちゃんの手に触れた。


 彼は指をからめ、優しくキスをしてくれた。


 心配しないで。


 私、あなたの困ることしないよ。


 泣くかもだけど、我慢、するから……


 ロッジの窓から見える、地を這うような暗闇と正反対に、眩しくて華やかな空はなにもかもを覆い尽くしてしまうよう。


 よっちゃん、今夜は優しい嘘をついて。


 さもないと、どうでも良いはずのことまで語ってしまいそう。


「冷えるよ。こっち来なよ」


 うれしい言葉に、はねるような気分で彼のベッドに入り込んだ。