―聞こえる?―



 よっちゃんと私。

 
 幸せ、しあわせ。


 あの親友二人には勉強してもらってるけどさ。


 山の空気を吸って、まだ真っ白な山脈の上にブルースカイのドーム。


「よっちゃん、来てみて」


 私は息を弾ませながらリュックを降ろし、大の字に寝っ転がった。


 大地と一体化するような気がして、目をつぶりまぶたを開いたら涙が出た。


 自分はこの青空の中の一部のような、雄大な世界を観た、と思った。


 世界は大きい。


 そして私はその一部なんだ。


 ねえ、聞こえる?


 私の心臓は大きく波打っている。


 あなたに聞かせるため、精一杯、拍動している。


 生きてるって、楽しいこともあるけれど、時に寂しいものよ。


 だから、ひとは何かを求めるの。


 自分にとってかけがえのない、すばらしい、何かを。


 その手につかむのがなんなのか、私は知らない。
 

 ただ、よっちゃんの声が心地よく聞こえるよ……だから、あなたも信じて。


 そらへ、この願いが届くように。