キーンコーン―


「じゃ、みんなまた明日」


先生がそういうとみんなは一斉に教室を飛び出す。
そんな中、沙紀がこっちに向かってきた。

「ねーねー、知ってる?中野くんのこと」
「中野くん…?」

高校に入学してまだ1ヶ月、クラスの名前と顔が一致しない時期。
男子の名前なんてなおさら分からない。

「うん、夕奈の隣の!!ずっと休んでる人だよー」

そういえば、私の隣の席ずっと空いてる。
特に気にもしなかったから忘れてた。

「あー…コレ?」

私は興味なさそうに机を指差す。
どうせ、不良気取ってサボってるだけでしょ…

そう思ってた。

「コレってあんた(笑)」
「どうせサボりでしょ!!」

男なんて興味ないからそんなことどーでもよかった。
今の私はとにかく帰りたかった。

「中野くん…病気らしいよ?」

……?
は?病気?

「隣のクラスの子から聞いたんだけどね?生徒には伏せてるみたいなんだけど中野くんのお母さんと先生が話してるとこたまたま聞いちゃったらしくて…」
「へー…」

正直、どんなリアクション取っていいのか分からなかった。
昔から病気とはかけ離れた生活を送っている私にとって、病気がどんなに大変なことかも知らず、風邪と同じような考えでみていた。

「中野くん、学校来れないのかな?顔見てみたい…」
「まぁ、どんなひとか気になるよね」

入院かー…?
そんなに悪いのかな…?

そのうち来るでしょ!

「そろそろかえろっか」

沙紀が鞄を差し出した。
私は受け取って教室を一緒にでた。