「蜜姫さんっ。」





仕事が終わり、足を引き摺る様に帰路につきやっと部屋にたどり着いた。





エレベーターに乗りながら、ゆっくりお風呂に入って晩ごはんは食べず今日は寝ようと考えていた。




到着音が聞こえ、鞄から鍵を取りだしながら通路を歩いていると見慣れない革靴。





ゆっくりと顔を上げれば、昨日いらっしゃった若王子さん。





「蜜姫さん、結婚して下さい。」


「昨日も申し上げましたが……」


「諦めません。例え貴女が逃げても地獄の果てまで追い掛けます。」





そうかそうか、この人は詐欺師じゃなくてストーカーだったんだ。




今更何故家を知ってるのか、名前を知ってるのか聞かない。





どうせ姉も同じ属性の若王子さんを応援するつもりで教えたに違いない。





プライバシーの侵害じゃない。