「おかえり。」


「おかえり。」


「…………ただいま。」





譲さんと一晩過し、帰りも腕を組みエレベーターでは部屋に着くまで抱き締め合いついさっき別れた、朝6時になる少し前。





開錠し、玄関を開けた私の目に飛び込んできたのは右側の壁に腕を組んで寄りかかる兄と、キッチンから顔を出しニタァ〜っと意地の悪い笑みを浮かべる弟、悠貴に出迎えられた。





「蜜姫ちゃーん、遅かったんだね〜。仕事が大変だって言ってたよね。」


「ほおー……化粧が落ちるくらい忙しいなんて儲かってんだな?」





悠貴の存在を忘れてた………兄が来てるなんて一っ言も聞いてないし、連絡だってもらってない。





「蜜姫ちゃん、お風呂入れば?他人の匂いが移ってるかもしれないよ?」





そうしたいのは山々なんだけど、退いてくれないと通るに通れないし、2人の視線がキツい。