男がリボルバーを回す。 カチッというきれの良い音が、瓦礫ばかりのこの空間に、虚しく響いた。 「じゃあな。」 そう言うと男は、俺に向けていた銃口の狙いを変え、自らの右のこめかみを撃ち抜いた。 そして、俺は取り残された。 手や顔に付いた、大量の血。 瓦礫と生臭さの中で、星の無い夜空の月だけが、ぽっかりと俺を照らして見つめていた。