「…あ、起こした?」
見慣れた天井の模様。
見慣れた壁のポスター。
そして目の前には、見慣れた顔。
「ヒロキ…?」
「んー?」
あたしは病院で寝てしまったはず…。
だけどここは、どう見てもあたしの部屋。
デジタル時計の数字は、AM8:00。
あたしまだ、図書館にも行ってない時間だ。
「ヒロキ、怪我はっ…」
???
勢いよくベッドから起き上がったあたしは、左手に違和感を感じ、言葉を切った。
だって、そこには、
「これ…」
薬指にはめられた指輪。
「待たせてゴメンな」
そう言うヒロキは、床にあぐらをかくようにして座った。
「最近は残業ばっかでかまってやれないし、7年も待たせたわりには、ショボイ指輪だけど」
残業、してたんだ。

