なれって怖い。
楽しかった毎日が、当たり前の毎日へと変わっていく。
それがどれほど幸せだったのか、今になって気付いたんじゃ遅いよね。
ケンカして、別れそうになったこともあった。
だけど、ヒロキの離れてく背中を見て後悔した。
引き止めたあたしを見てヒロキは、
「それを待ってた」
そう笑って、あたしを抱きしめてくれた。
だけど今は、あの時とは違う。
部屋に響くのは、無機質な機械の音。
「ヒロキぃ…あたしの手じゃん。なんで握り返さないの…」
ヒロキの手を握るあたしの手は、ガクガクと震えていた。
「それとも久々すぎて、忘れちゃった…?」
最後に手を握ったのは、いつだった?

