こんな偶然あるんだ。
あたしは迷わずその本を手に取り、空いていた席に座った。
“無題”だなんて面白い。
少しワクワクしながら、本の表紙をめくっていく。
「………」
…あれ?
だけど、何枚めくっても、中身は白紙。
なにこれ、不良品?
最後まで見たけど、どのページも真っ白。
もう、期待して損しちゃったじゃん。
さっきの場所へ返そうと思い、立ち上がろうとしたその時。
“―――ヴーヴーヴー…”
ポケットの携帯が震え出したことにより、あたしの体はビクッと跳ねた。
「……ん…?」
…………。
……え、あれ、夢…?
目の前にある、文字が敷き詰められている小説の上に、あたしは顔を伏せていた。

