だからこの人からバニラの甘い香りがしたんだ。 「君は?」 「あたしは 一ノ瀬 蘭子 高3 至って普通の女子高生だよ」 「普通じゃない…」 「へっ?!」 「君はとても綺麗だ…色も白くて髪も艶があって…」 あたしの髪をひとすくいしてさらりと流す。 その指にはリング… あたしは危険な男に出逢ってしまったのではないか? 光るリングを横目に、そう思わずにはいられなかった。