さっと入り口を入ったから何も言えなかったが、昼下がりを感じさせない落ち着いた部屋だからよかった。

「こういうのってお前としたことない、なかったよな、ないな、ないだろ?」
「ええええ?」
「じゃあ、してた?」
「あいかわらず、というか、さすが、というか、言ってもいい?」
「うん」
「ばか」
「うへっ」
「だから、先生にばかって言ってもいいか聞いたんだよ。いいって言うから」
「そうか」
「あたしとはしてないよ」
「そうか。それならよかった」
「最後まではね」
「えっ?すると多少は、か」
「バカ」

そう言いながらその子は本当に少し怒ったようだった。