町から戻ったガレアは、子供達に囲まれていた。

「ガレア、占いしてよ〜」

「ぼくも〜」

「わたしも〜」

「少し待って。もうすぐ風向きが変わるから、それから順番にね」

 子供達の頭を撫でて小屋に入ろうとすると、赤い髪の青年が後ろから肩を叩いた。

「なあ、俺も占ってくれないか」

 素っ気なく、ぽつりと言う。

「戦功をあげられるかどうかならお断りだよ、ソリスティア」

 振り向きもせず、ガレアは答える。

 のどかな周囲の光景に不似合いな鋼鉄の鎧を纏った男、ソリスティアは町に派遣されて来たばかりの騎兵だ。

「君に何ができるかは、君次第で変わる。それは占うものではないよ」

「戦功?どうでもいいさ、そんな事」

 本当に興味なさそうに、ソリスティアは言う。

「俺はまた、あの月を見られるか?」