「ヴァーナ様! ヴァーナ様ぁ?
何処に居らっしゃるんですかぁ??」

何故かフリフリのメイド服を着た、赤毛の少女が分厚い本を抱えて屋敷中を駆け巡る。


屋敷のメインロビーらしき場所に有るシャンデリアの上にふわりと佇む少女ー

ヴァーナ。

「ロニティー?アタシなら此処に居るわよ?」


シャンデリアの上に器用に腰掛け声を掛ける。

「っあ!っもぉ!またそんな変な場所にかくれんぼしないで下さいよっ!」

到底届く筈も無いヴァーナを捕まえる様に飛び跳ねる。

「、、、。
で何なの?用事が有ってきたんでショ?」

「むむむ〜!!
用事はありますけど、こんなに遠くちゃオハナシになりません!」

「何よ?貴方がこっちに来ればいぃじゃない?」

「出来てればやってます!
あたし達ロゼディー族は、ヴァーナ様達の様なロマディー族にお使えする為に居るんですから!
と・べ・ま・せ・ん!!」

ヴァーナよりも小さい体でピョンピョンと飛び跳ねる。

「っあははははっ。
そんなに可愛い姿を見せられちゃ行くしかないわネェ。」

ふわりふわりと
まるで羽でも生えているかの様に降りてきた。

「ソレで?
今日はどんなの持ってきたの?」

分厚い本をヒョイと奪い去りページをめくる。

「んとー。もうちょっと先です!
あ、えとー。んー。アレ?コレ?」

「アタシは知らないわよ?
貴方が持ってきたんでショ?」

「、、、。
ですよね。むむむ〜!!
っああああああぁ!コレコレコレ!!

このコです!」

分厚い本の3254ページ目に
赤いマルが二つ。

そのマルの中には。


葡萄酒を片手に本を読む男性と、男性に寄り添う女性の写真。


其処には
後に闇へと陥れられるー
一人の少年の姿も、、、。