寺島悠紀。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能、おまけに金持ちとくれば申し分ない程の逸材だと誇っていた。

そう、オレは自分と言う人間に非常に満足していた。何不自由なく育ち、親や周りの期待を一身に受け、難なくそれに応えてきた。

そう、オレは昔からオレだった。



「朝から騒がしいんだよ、うるせー」
「きゃー悠紀君」



校門の前でそんな事を言って立ち止まった時だった。
調度ぶつかってきた女が居て。オレが何か言う前に取り巻きが騒ぎ出して傍観していた時。その女は。



「あんたがそこで仁王立ちしてんのが、悪い。邪魔だっての」



初めてオレに文句をつきつけた女が、後の6年間を共にする岸本真織だった。

綺麗な顔だちにその冷めた性格がまさに、クールビューティーを生んだと誰もが騒ぎたてていた。
そして相手がどんなだろうが、はっきりと言うアイツの性格が仇となって女共に囲まれて水をかけられていた。

それも、オレの取り巻き達。真織との出会いがオレにとっては衝撃的で、クラスも6年間同じに差し掛かろうとしたあの夏の日。

色々と理由もなくつっかかるようになったオレの所為で今、真織は集団リンチに合い。挙句の果てに水までかけられイジメられていた。

頭の隅で「目をつけられたのか」とか「バカな女だな」とか何とか言ってた。
のに。オレの身体はいつの間にか、真織の傍へ。真織の代わりに水を被った。



「は、悠紀君!?」
「……ッふざけんな」
「っ!待て!!」