まず、そこのあなたの言うことに耳を傾けたのではなく、そこに居るあなたに対して少しの恐怖感があった。



そうだ。寝起きで、まだ頭のまわっていないあたしにカタコトの日本語を言ったってそれに見合った返答を言葉にすることができるはずない。




目の前にいる「あなた」



いいえ、少女。下は13、上は18。二十歳はいっていないと断言できる。何故か自信があった。





真っ赤なワンピースに、真っ黒なベレー帽、白に花柄の靴下、薄茶色のローファー。



奇麗に着こなしたファッションには似合わない無表情、長い睫、真っ赤な口紅。




きれいすぎて人間離れした人形のような顔立ちに、あたしはトクトクと鼓動が踊る。すこしの恐怖、すこしの期待。





彼女…少女とあたしは目があったまま、動かない。





派手なベッドカバーに身を隠すあたしと、ドアを思いきり開けて閉めずに立っている少女。