『マー君、先行ってて。俺こいつと話したいことあるから。』

あぁ、と言うとマー君と呼ばれた男は残りを引き連れて、遼祐の横を笑いながら通りすぎた。

『よぉよぉ、久しぶりだなぁ遼ちゃん。』
『誰だよお前。俺には金髪の不良に知り合いはいない。行くぞ、さくら。』
『待てよ。気に入らねぇなぁ。お前はいいなぁ…順調、で、よ!』

遼祐は鼻に衝撃を覚えた。

それからしばらく殴り合いがつづき、気付いたら二人は倒れていた。
傍ではさくらが泣いていた。
対照に、二人は笑っていた。

『お前喧嘩強ぇじゃん。仲間なんね?』
『バカヤロウ!お前が特別ウザイから力が出たんだよ。』
『あ?なんだそれ?喧嘩売ってんのか?』
『今やったばっかでまた喧嘩する馬鹿がどこにいんだよ。』
『ここにいるぜ!』

遼祐はデコピンを喰らった。

『テメッ!…なぁ純、戻ってこいよ…俺ら…友達だろ?』
『許せるのか?俺を…今もひがんでお前ぶん殴った俺を。』
『…ダチ、だろ?!』
『でも、無理だよ。お前らが危なくなる。俺もお前もマー君にやられるよ。』
『さっきの奴か?』
『あぁ、うちを仕切ってんだよ。ありゃ人間じゃねぇ。』
『でもよ…』
『俺さ、ケジメつけるよ。したらさ…また…いや、なんでもねぇ』
『…帰ってこい。』
『遼祐…サンキュー。じゃ一旦もどるわ。』
『おう。気をつけろよ!さくらに手及んだらお前だろうと殺しにいくからな!』

あぁ、と笑いながらいうと、マー君達が去った方へ走って行った。
さくらの目にはもう涙はなかった。