午後の授業が終わり、七海から一緒に帰ろうと言われた。
翔太と一緒に帰る約束をしていたが、「うん。」とすぐ答えた。
七海の少し緊張した顔を見て、何か大事なはなしがあるんだと感じた。
わたしにとって大事なはなしが。

「翔太に七海と帰るってメールするね。」
みちるの後ろ姿をみながら、七海は考えていた。

―どう忠告したらいいのかな―

七海とみちるは幼稚園から一緒だ。七海にとって、みちるは妹みたいな存在。
中学の時、同じ男の子を好きになった。
「いつ告白するの?」とみちるは七海に聞いた。
ともだちに彼氏が出来るのが、楽しみでしかたないといった風に。

みちるは恋と友情を天秤にかけて、迷いなく友情をとった。
七海は胸が苦しくなった。
「フラれちゃうかもしれないんだから、期待もたせないでよね!」
そう言いながら、

―みちるはわたしが守るんだ―
と、七海には、母のような彼氏のような、不思議な力強い思いがわいてきていた。

「七海、翔太から返事きたよ。OK!(^∀^)ノだって」
みちるの声で、七海はハッとした。
七海は、みちるの顔をみて自分の迷いに踏ん切りがついた。
「よし。ねえ、帰りマックよってかない?」