あなたのメール、代行します。

「でもでも、ナイトくんが一緒に遊んでくれて、すっごくうれしかったし、すっごく楽しかったよ。やっぱりやっぱり、ナイトくんのことを好きになることはできないけど。ごめんね」


「それは――」


 ――まだ大仏さんのことが好きだから? って聞こうかと思ったけど、やめた。

きっとそうだと思うけど、今それを聞くのはつらい。

聞いたら答えてくれるかもしれない。でも芽衣さんは悲しい顔をすると思う。

芽衣さんもわかってるんだ、芽衣さんが大仏さんのことをどれだけ好きでも、大仏さんはもう芽衣さんのことを好きじゃないって。

ああ、そうか、もしかしたら、だから芽衣さんは『君のための物語』を観て泣いたのかもしれないな。

別れてもまだ相手のことが好きで、映画まで作ったのなら、もっと泣けるっていうのは、芽衣さん自身にその姿を重ね合わせてたんだ。

私もそんなふうに、愛されたいなっていうのも、俺じゃなくて、大仏さんのことだったんだ。


「ナイトくん、じゃあ私、帰るね」


「……うん」


 最後に笑顔を見せて、彼女はそのまま出て行った。


 もうこれで、終わったんだ。


 芽衣さんと入れ替わりで、大仏さんが入ってくる。


「おう、ナイト、話し終わったみたいだな。フラれた理由はわかったか?」


「え? 大仏さんがフラれた理由? 告白がダサかったからでしょ」


「ちょっ、ちょちょーい! ダサくないもん! いいか、あの告白は…………」


 クドクドさんは何かブツブツ言ってるけど、まあほっとこう。

クドいツッコミは、これからもずっと聞ける。

芽衣さんのことは好きだったけど、フラれたおかげで俺は成長出来た。

また恋ファンでメールを送ってみよう。

今度は代行を使わず、自分の言葉で。

映画を作ってもらえるくらい、誰かに愛されるように。

俺はポケットから携帯電話を取り出して、メールボックスを開いた。


おしまい