私には宝物がある。 3歳くらいの時に大好きだった亡きおじいちゃんにもらった、目覚まし時計だ。 木で作られたダークブラウンの四角い目覚まし時計。 おじいちゃんも気に入って使っていたらしいそれは、もうだいぶ古い。 だけど電池さえ定期的に交換すれば、今まで時計の針がくるったことは一度もなかった。 そう。 一度もなかったのだ。 「もう俺は何十年も働いたから。そろそろ寿命が来たみたいだな」 目の前の男はそう言った。