小さい頃は、あいつが大好きだった。
いつもベッタリで、新兄(シンニイ)って呼んで。

1番、仲が良かった。

でも、時が経つにつれて。
あいつは家に女の人を連れて来るようになった。

別に良かった。
綺麗な人だったし優しかった。

でも、違ったんだ。

全部、全部、あいつのせい。



「……ら?輝羅、おい。」
「え、あ、何?光流」
「いや、食い終わったのにボーっとしてるから。」
「あ、ごめん。食器…」
「下げといた。学校行くぞ」
「うん。」

光流がもってきてくれたカバンを持つと天兄が手を振ってくれた。

「「いってきます」」
「いってら」

天兄に手を振り返して、玄関を出る。


あいつとあいつの彼女らしき人の声は聞こえなかった。