「「ただいまー」」
「おかえり。」

出迎えてくれたのは天兄。
安堵している自分がいる。
あいつじゃなくてよかった。と…

「早くご飯作んないとね。」
「おう、俺も手伝う。」
「俺は部屋に荷物置いてくる。」
「あ、私のも置いてきて。ドアの前に置いてよ!」

光流に鞄を任せて、天兄とキッチンへ向かう。
お気に入りのエプロンをつけて、手を洗って料理開始。

「天兄はジャガイモの皮剥いて、切って。」
「了解。」

その間に私は、鍋出して人参と玉葱の皮を剥いて一口サイズに切る。

「俺も手伝うかー?」

光流が戻ってきた。

「手洗って、お米研いでくれる?」
「おう、任せろ。」

因みに、キッチンは広いから3人くらい大丈夫。
狭くないって言ったら嘘になるけど。

まぁ、3人仲良く晩御飯つくり。
結構、楽しい。

さて、材料を切り終わって今は煮込んでる。
ご飯も炊いてる。

「あと少しだー」

伸びをしたとき。

「おー、いい匂いじゃん。」
「仲、いいんだね。」

こいつらの存在忘れてた。

「あ、私帰るね。新。」
「おう、じゃぁな。奏。」
「うん、ばいばい。」

彼女らしき人が帰る。
大人っぽくて、護ってあげたくなるタイプの子。
たしか、この前はギャルっぽい子。

ピーーーー

タイマーが鳴った。
私は無言で火を弱めてルーを入れる。

「俺もなんか…」
「いらねぇよ。3人で十分。」

あいつの言葉を、光流が遮った。

「新兄は部屋でゆっくりしてろよ。」
「でも…」
「もう少しで出来るし、大丈夫だ。」

天兄も遮る。
私は黙ってカレーを混ぜる。

いつからか、仲のいい兄妹の関係は壊れた。
それは、私のせいなのに。