「社長が貴方達も招待して
 くださったのよ
  
 あくまでも会社の社員と
 しての参加なので大騒ぎや
 暴飲暴食は控える事

 それに明日は仕事だから
 1時間程で切り上げるわよ」
 
「はぁい」

私たちは、2台のタクシーに
別れて乗車した。
 
「今日は、イサオさんは
 来るかしら・・・」
  
店長は、白石さんと
話をしている。

私は車窓から、夜の街並を
眺めていた。

「彼は、こういう場は苦手な人
 だから、どうでしょう?」

私は、あの日から一度も
イサオさんの工房へ伺う事は
なかった。
 
彼に、自分の心の傷を全て
曝け出した事を決して後悔は
していなかった。
 
彼に、全てを聞いてもらえた
おかげで、私の心は以前よりも
ずっと軽くなった。