「はい
 それでは失礼します」

前を見て歩き出す私を
イサオさんは呼び止めた。

「ミオちゃん
  
 アキラには、ずっと好きな人
 が要るんだ・・・
  
 君の想いは、アイツに
 受け止めてもらえない
 かも知れない」

「知っています、もし
 受け入れてもらえなくても
 今の私なら大丈夫です

 イサオさん
 貴方の言葉が私のここ(胸)
 にある」
  
私は、やっと心から笑う事が
できた。
 
愛想の無い私が初めて見せた
笑みに、彼は少し戸惑っている
ように感じた。

この何年間、一度も笑った事
など無かった私の笑顔はきっと
引きつっていたに違いない・・
 
「俺は・・・何をしてる
  
 彼女に偉そうに言いながら
 俺自身が過去に縛られている
 くせに・・・
  
 彼女の笑顔を見た後のこの胸
 の感情はいったい・・・
  
 どうしたんだろう・・俺は」