そんなアキラの邪魔を
私は、したりしないよ。
 
だけど、心から喜ぶ事が
できない私がいるの。

もっと早くにセリナさんの
気持ちがアキラに向いていて
くれれば、私はイサの傍で

この手に彼女のように、子供を
抱く事ができたかもしれない
  
そんな事を思ってみても
何も変わらない。

暗く力なく落ち込む、私の耳元
でイサが囁いた。

「美桜

 お前は俺の事が好き?」
 
私は、何も言えないでいる。

貴方に何も言わずに私は一人で
この家を出て行った。
 
そして、貴方との大切な絆を

私は・・・
  
彼に愛しているなどと、言う
資格が、もう、私には
無いように思えた。 

「聞かせて」

彼の声、言葉に秘められた
狂おしいまでの不安な叫びが
私に伝わる。