この腕に最後に抱かれたのは
そう、別れの日。

あれから、どれだけ時が
過ぎただろう。
   
彼が、私の事を心配していて
くれた事がこの腕の温もりから
私には感じとれた。
 
そんな私たちを見つめる視線

それは、子供を抱いたセリナ
さんだった。
  
私は彼女の存在に驚き、胸が
苦しくなる。 
  
「もう絶対、こんな馬鹿な
 真似はするな
   
 心臓がいくつあっても
 足りないから」

「ミオちゃん・・・」

私は彼女の悲痛な叫びを、もう
二度と聞きたくない。
 
アキラの元から離れて行く。 
 
「ミオ」

アキラが呼び止める声に
私は立ち止まらず、急いで
工房を出て行った。
 
そんな、私の後姿にセリナさん
は叫ぶ。

「待って、ミオちゃん
 お願いだから話を聞いて」

私は、立ち止まった。