涙を流して取り乱す私を
母は強く抱きしめる。

「ミオ、泣きたいだけ
 泣きなさい
  
 お母さんが、ずっと傍に
 居てあげるから」

翌朝、手術は無事に成功する

私は麻酔で眠らされている中で
赤ちゃんが誰かの手に抱かれ
どこかへ連れて行かれる夢を
見た。

私は両手を精一杯に伸ばし
叫んだ。

「やめて・・・
 連れて行かないで・・・」
 
私に残ったのは

体と心の傷だけ。

三日後、私は母の説得を受けて
実家に連れ戻される事になる

この街で、失くしたものは
あまりにも大き過ぎて
 
私は、あんなにも拒んでいた
実家に住む事を了解した。