ここにずっと置いてあったまま
の自分の私物をまとめた紙袋を
手に、彼女は工房を出て行く

セリナさんの後ろ姿に
彼は叫ぶ。

「セリ、お前は、俺のずっと
 可愛い妹だよ
   
 だから、何かあれば
 いつでも言って来い
   
 金は無いけどね」

「馬鹿・・・」
 
セリナさんは、振り返らずに
歩いていく・・・
   
彼は、月を見上げる。

「美桜・・・
 
 君は今、どうしてる
   
 俺は、お前に逢いたい」