私は、戸惑いながら答えた。

「私のアップルジュースなら
 あるけど・・・」

「それ、ちょうだい」

そう言って、彼は満面の笑み
で私を見つめる。

何も変わらないアキラの態度に
私は救われ心から嬉しく思う
 
あんなにひどい事をしたのに
私に笑いかけてくれるの。

「アキラ・・・ありがとう」

彼は、イサオさんのように
私の頭に手をのせた。

「ここだけの話、俺はもう二人
 の事をなんとも思ってないよ
 俺自身も悪かったんだ
 あの後、ミオに悲しい想いを
 させてしまった事を深く反省
 したよ
   
 アニキはそんなミオの悲しむ
 顔を見たくなかっただけ 
 大抵の男は、好きな子の涙は
 見ていられないからね
  
 あっ、でもこの事はアニキ
 には内緒ね
 もう少しだけ、罪悪感に
 苛まれてもらわないと
 俺の気持ちがね・・・

 もてない男の僻みかな」