「俺は何もできなかった
   
 俺の存在に震えていた
 アイツが言うんだよ・・・

 好きにしてもいいけど・・・
 心はアンタだけのものだって
 そう言い放つ、アイツはもう
 震えてなどいなかった

 俺はもう、アイツに会うこと
 はないよ、今のミオに興味は
 無い
   
 もう、この世に絶望していた
 頃のミオじゃない
 
 俺が愛したミオはもう
 何処にもいない」

そう言い、イサオさんの手を解
いて引きずる足で、彼は前だけ
を見て歩いていく。

最後に振り返る。

「ミオに伝えてくれ・・・

 もうすぐ俺はこの街を
 出て行く
   
 もう二度と戻らないと」