「イサ、おまえこそ
 もっと愛想良くしろよ
 
 ごめんね、ミオちゃん」

彼の言葉は、何ひとつ
間違ってなどいない。
 
この場に
私が居る事こそが
間違いなのだ。

「私、帰ります」

私は鞄の中から、支払いの為に
財布を出そうとするが
 
彼を宥めている男性は微笑んで
頭を左右に振った。
 
私はお辞儀をして鞄だけを持ち
その場を後にする。