それもそのはず、その出来事は
イサオさんも知らない。

セリナさんは、ご主人との別れ
は自分が選んだことで、その
寂しさに負けてなどいられない
 
一人で子供を育てていくと
決めた以上、誰にも頼らずに
歩んでいくはずだった。
 
子供を流産しかけた事で不安に
なった彼女は、アキラにだけ
真実を打ち明けた。

イサオさんだけには
甘えたくなかったのだろう。

アキラは、彼女の不安な気持ち
を少しでも取り除いてあげよう
と安定期に入るまでは、成だけ
彼女に会いに出かけていたらし
い。

「ごめん・・・

 セリがミオに悪いから
 黙っていた方がいいと・・」