長尾さんは、大笑いした後に
冷笑する。

「そんな昔の話、忘れたよ」
  
彼の言葉を受け、イサオさん
も冷笑する。
  
「そうか、じゃあ俺も忘れるよ
 
 おまえと約束した事・・・
  
 セリは、渡さない
  
 子供は
 俺の子として育てる」

室内の私には、二人が話す言葉
は聞こえてこないので、どうな
っているのか詳しい状況は
分からない。
 
だけど、イサオさんの冷めた
表情を見て、彼が、セリナさん
のご主人を挑発しているように
思えた。
 
わざと、怒らせようとしている
ように・・・

「セリナは返してもらうよ
 
 セリナ」

「返さないっていったろ
  
 おまえにセリは渡さない
  
 セリは、ずっと俺の事が
 好きなんだよ」