私はイサオさんの手を解き
アキラへと駆け寄り、彼の腕
に包まれ、彼だけを見つめた

その私の瞳には、大粒の涙が
溢れる。
 
「ミオ、大丈夫だよ
 だから、泣かないで
 ミオ」 

イサオさんの心を酷く傷つけた
事にも気づかずに私は、愛しい
人の胸の温もりに安心する。
  
私を抱きしめるアキラの姿を
見たセリナさんの心は複雑な音
と共に崩れ逝く。

彼女はどれだけ自分が、アキラ
に甘えていたのか、本当は
アキラにセリナさんが必要
だっただけでなく、彼女に
とってもアキラは必要不可欠な
存在。

彼女はその事に、やっと
気がついた。
 
イサオさんを好きな気持ちに
囚われすぎて周りを見る事の
出来なかった、彼女の過ち。