アキラの心深くに、住み続ける
彼女が私と手を繋ぎ、未来を
見つめてくれた彼の心に
忍び寄る。

工房で、久しぶりに会う彼女の
表情は幸せに満ち足りてなど
いなかった・・・

今、彼女は悲しみの海に
沈んでいた。
 
その姿に、かける言葉が
見つからない。 
 
そんな、セリナさんの姿を見た
アキラは、きっと、彼女に
手を差し伸べるだろう。

きっと・・・

彼女もまた、自分だけに向いて
いたはずのアキラの心が、今は
私に向いている・・・

その事実に耐えきれずに
いるはず。

私と繋ぐ手を解き、アキラは
彼女の傍に駆け寄った。

「セリ、その頬の傷
 どうした?」

彼女は涙を流し、アキラに
抱きついた。
 
「何があったの?」